札幌ベルエポック製菓調理専門学校の学生が自由な発想で、
野菜の端材や残り物を無駄なく活用する「ごみ減量レシピ」を考案!
その中でも、優秀なレシピ5選をご紹介します!
レシピ審査員
下國 伸(しもくに のぶ)
フレンチシェフ / 料理人 1986年・北海道旭川市生まれ
料理人の父の影響で料理の道を志す。地元の調理師専門学校を卒業後、箱根の「オーベルジュ・オー・ミラドー」で約4年半、東京の2つ星レストラン「ピエール・ガニェール」で約2年修行。さらにフランス・ローヌ地方の有名店を経て、北海道へ。札幌で数店を渡り歩き、2017年に老舗フレンチレストラン「コートドール」の4代目料理長に就任。退職後は、食の未来のために日本全国を回る料理修行の旅へ。よりスキルアップした料理人を目指し進化を続けている。メディア出演も多数。
初代「CHEF-1グランプリ」王者
ベルエポックごみ減量レシピコンテスト入賞レシピ
「野菜の皮も(とっても)おいしく食べられそう!」だから作ってみたで賞
お野菜の皮とえびのかき揚げ
【本人コメント】
フードロスを考えた時に思いついたのがジャガイモの芽でした。でもジャガイモの芽は料理に使えないので、それならジャガイモの皮を使おうと思ったのがこのレシピの原点です。自分で作った時にはジャガイモの皮の食感が少し残ってしまっていましたが、今回実際に下國シェフに作っていただき、低温からじっくり揚げたものは嫌な食感がなかったので、勉強になりました。
【下國シェフからのコメント】
野菜の皮はどうしても、当たり前のように捨ててしまうもの。それをダイナミックな料理に変身させられている点が良いですね。野菜の捨てる部分だけで作ったとは思えない食感。上手な野菜のくずの使い方だと思います。
ジャガイモの皮の食感が残ってしまっていたとのことでしたが、それは水分が残ってしまっていたのが原因。皮を薄くして細かい千切りにして、じっくり揚げて水分を抜いてあげることで嫌な食感が無くなります。
ジャガイモやにんじんの皮だけでなく、例えばかぼちゃの皮を使っても面白いと思います。他にはアスパラなど、繊維が強いと思うものも、細かい千切りにしてしまうと繊維も気にならなくなります。季節の色々な野菜でアレンジできるレシピです。
【材料(1人前)】
- じゃがいもの皮10g
- ニンジンの皮10g
- 小えび(素干)適量
- 水または炭酸水適量
- 薄力粉適量
- 片栗粉適量
- 塩・コショウ少々
【レシピ】
- 野菜の皮を細く千切りにしキッチンペーパーなどで水気を取っておく。
- ①に小えびを加え、塩コショウを少々ふる。
- 水・薄力粉、片栗粉を混ぜて、衣を作る。
- ③の衣を②を加えて混ぜる。
- フライパンに油を入れ、菜箸を入れた時に、しゅわしゅわと泡が出るくらい熱する 。(約160℃)
- ④を揚げていく、下の面が揚がってきたらひっくり返し上の面も揚げる。
- 全体に火が通ったらバットで油をきり、皿に盛り付けて完成。
野菜の端材も栄養満点で賞
ベジブロスのスパイスカレー
【本人コメント】
野菜の皮などは絶対に捨ててしまうものなので、うまく使えないかなと思ったのがこのレシピ考案のきっかけです。出汁として使ってみたら美味しかったので、カレーに活用してみました。
【下國シェフからのコメント】
野菜やスパイスの使い方がとても丁寧で良いですね。捨ててしまうくず野菜を捨てずに煮出し、出汁として活用するのはプロも取り入れるテクニックですが、上手く活用してカレーに仕上げるのは良いアイディアだと思いました。栄養価もあるし、エビデンスを持って料理に使っている点が高評価です。
付け合わせのマッシュポテトのミルキーさ、野菜のおいしさ、スパイスが混ざってこの料理ならではのおいしさが出ています。マッシュポテトを更に柔らかくクリーミーに仕上げるとカレーと馴染みやすくなり、また違った風味を楽しめます。
【レシピ】
- 鶏もも肉は一口大にカットし、ヨーグルトにつけておく。
- にんにく、しょうがはみじん切り、玉ねぎは薄くスライス、トマトはざく切りにしておく。
- 鍋にサラダ油を大さじ3強ひいて、ホールスパイスA(カルダモン、スターアニス、シナモン、クミンシード)を入れる。
POINT! スパイスを焦がさないよう、香りをしっかり油にうつす。 - 鍋ににんにく、しょうがを入れ香りがたってきたら玉ねぎと塩をひとつまみ加え、きつね色になるまで炒める。
- 鍋にトマトを加え潰しながら酸味と水分を飛ばしたら、パウダースパイスB(クミン、コリアンダー、チリ、パプリカ、ターメリック)と塩小さじ1を加え、全体を馴染ませる。
- ヨーグルトに漬けておいた鶏肉を表面が色づくまで炒めたら、鍋に鶏肉とベジブロスを加え沸騰したら弱火で30分程煮込んで完成。
POINT! 水分が足りなくなったらベジブロスを適量加える。
マッシュポテト
- ジャガイモを茹でるもしくは蒸して、火が通ったら皮をむきマッシュする。
- マッシュしたジャガイモに、カレー粉、塩こしょう、牛乳、バターを入れ混ぜ合わせれば完成。
ベジブロス
ベジタブル(野菜)+ブロス(出汁)のことです。
- 野菜の端切、水、酒を全て鍋に入れ一度沸騰させたら弱火で20分程度煮る。(ジャガイモのかわは煮すぎるとアクが出る)
- ざるで漉したら完成。
【材料(4人前)】
- 玉ねぎ1個
- トマト2個
- にんにく1かけ
- しょうが1かけ
- プレーンヨーグルト60g
- 鶏もも肉600g
- サラダ油適量
- 塩適量
- カルダモン5粒
- スターアニス1個
- シナモン1/2本
- クミンシード小さじ1
- クミンパウダー小さじ1/2
- コリアンダーパウダー大さじ1
- チリパウダー小さじ1
- パプリカパウダー小さじ1
- ターメリックパウダー小さじ1/2
- ベジブロス250g
※上の材料の皮や端切
(冷蔵庫にある端野菜)
- 水1ℓ
- 酒大さじ1
- 米適量
[マッシュポテト]
- じゃがいも3個
- カレー粉小さじ1強
- 塩こしょう少々
- 牛乳大さじ3
- バター15g
ピーマンはヘタもタネも美味いで賞
克服!! ピーマン漬け
【本人コメント】
今回フードロスを考えた時、祖母が「ピーマンは全部使えるんだよ」と言っていたのを思い出して。私自身、ピーマンが苦手なのですが、漬物が好きなので、出汁で漬けたら美味しいんじゃないかなと。時間が経って味が染みると、苦みもなく美味しく食べられました。そうめんに刻んで入れたり、丼に乗せても美味しいです。
【下國シェフからのコメント】
ピーマンはヘタもタネも美味しいのに、「捨てるもの」という認識になってしまっていますよね。なので今回の企画をきっかけに、家庭レベルで意識してもらえると良いですね。
焼いて香ばしくさせて、味を染み込みやすくしているのも上手。種のプチプチ感も、捨てていたら勿体無いと思わせてくれるほど良い食感を出しています。塩分やや強めでパンチがあるのでご飯のお供やお酒のつまみにもなります。おばあちゃんから発想を得ているレシピという点も、とても理想的なレシピの在り方です。塩分強めなので日持ちもする。味が馴染んできて、変化も楽しめるのも良いです。
カレーや味噌汁の隠し味の他、チャーハンやピラフに刻んで入れても味わい深くなりオススメです。
【材料(1人前)】
- ピーマン4個
- ごま油適量
- 白だし大さじ4
- 水50mℓ
- 塩一つまみ
- かつお節1パック
- 鷹の爪2個
【レシピ】
- ピーマンを縦に6等分する(ヘタや種ごと)
- フライパンにごま油を適量入れてピーマンがしなっとなるまで炒める。
- タッパーもしくはチャック付きビニール袋にピーマンを入れて、塩、水、白だしを加える
- 小鉢に盛り付けて、上からかつお節、刻んだ鷹の爪をかけて出来上がり。
POINT! 半日から一日ほど、冷蔵庫で寝かせると味が入ってより美味しくなります。
簡単アレンジで残さず食べられるで賞
余ったご飯orおにぎりで簡単
焼きおにぎり風煎餅(煎餅風焼きおにぎりでは?と下國シェフより)
【本人コメント】
ご飯が炊飯器に残っているのを見て、もったいない、何かできないかなと思ったのがきっかけです。クッキーの型で抜くのも良いと思います。今回はフライパンで焼いていますが、トースターで焼くのもオススメです。
【下國シェフからのコメント】
冷やご飯は必ず家庭にはあるもの。これだけ簡単なレシピだと、「これなら作れるよね」と思わせてくれますね。
味も、ものすごくシンプルで美味しいです。醤油が焦げたところの香ばしさも食欲をそそります。この状態でも中がモチモチしていて美味しいですが、もっと薄くして小さくするとお煎餅のように手で持って食べられます。小さくコロコロっと並べるとパーティー料理にもなるし、刻んだ梅干しやツナマヨを乗せて、煎餅おにぎりみたいにしても面白い。色々なバリエーションが楽しめます。
【材料(1人前)】
- ご飯200~230g
- 醤油適量
- みりん適量
【レシピ】
- 冷えたご飯の場合は、一度温めてください。
- ボウルにご飯、醤油、みりんを入れ混ぜ合わせる。
- フライパンを熱し、油を引いたら②を入れ、フライ返しなどで煎餅のように平たくして、焼き色が着くまでカリカリに焼き上げる。
トースターを使う場合
アルミホイルに油を塗り②をのせ、しゃもじで平たく潰す。230℃で7分程
●そのまま食べてもよし、汁物などに入れても美味しいです。
サツマイモの皮は香ばしくあげると最高で賞
サツマイモの芋けんぴ
【本人コメント】
祖母がおせちを作るときに、栗きんとんを栗の代わりにサツマイモで作っていたのですが、余った皮でおやつを作ってくれていました。昔から食べているそのおやつを再現してみました。
【下國シェフからのコメント】
冷めたら固まってしまうかなと思いましたが固まることもなく、美味しいですね。お店で出しても成立するようなカリカリ食感の芋けんぴ。老若男女問わず食べられます。
フードロスの観点でいうと、サツマイモの皮だけをじっくり揚げても良いですね。
アレンジとしては、例えば最後にスパイスを入れるとエスニック芋けんぴになったり、わさびを入れて甘わさび風な味付けにするのもマッチします。
【材料(1人前)】
- さつまいもの皮
- 醤油適量
- ハチミツ適量
- サラダ油適量
- ゴマ適量
【レシピ】
- サツマイモの皮を水につけアクをとり、棒状に切る。
- キッチンペーパーでしっかり水を切る。
- 160℃~170℃に熱した油で茶色のなるまでカリカリに揚げる。
- 醤油とハチミツを1:2~1:3の割合で合わせフライパンで温める。
- ④に油を切ったサツマイモの皮を絡める。
- 皿に盛り付けてゴマをかけたら完成。